
みなさんこんにちは!
ブログ担当技師です。
このブログでは、MRI(磁気共鳴画像)に関するちょっとした豆知識や、画像に現れる不思議な現象について、可能な限りわかりやすくご紹介していきます。
前回は、MRIの「FLAIRのコントラスト」がどういうものか、どうコントロールされ、臨床でどう活かされるのかを解説しました。
今回のテーマ「コントラスト 第3弾」として、DWI(Diffusion Weighted Imaging:拡散強調画像)についてお話していきます。
「DWIって結局何を表しているの?」
「なぜ急性期脳梗塞の診断に欠かせないの?」
そんな疑問を、水分子の拡散から生まれるDWI独自のコントラストの仕組みを通してお話ししていきます。
■FLAIRの限界とDWIの登場
前回取り上げたFLAIR(フレア)は、脳脊髄液の信号をあえて抑えることで、T2強調画像では埋もれてしまう脳室周囲の病変まで浮かび上がらせる画像でした。
ただし、FLAIRが得意なのはあくまで「水の信号の引き算」です。発症してまもない急性期の脳梗塞や、細胞レベルで起きているわずかな変化までは、信号の強弱だけでは十分にとらえきれません。
「FLAIRで白く光る古い病変と、いま起きたばかりの脳梗塞をどう見分ける?」
「発症から数時間しか経っていない虚血を、どこまで早く拾えるか…」
こうした“時間軸と細胞レベルの変化”を映し出すために生まれた、もう一つの応用コントラストが、今回紹介する【DWI(拡散強調画像)】です。
水分子のブラウン運動そのものを画像化することで、FLAIRでは拾いきれなかった超急性期の脳梗塞や、組織内の水分子の動きの制限までを浮かび上がらせる、診断の決め手になるコントラストです。
■そもそも『DWI(拡散強調画像)』ってなに?
DWIは「Diffusion Weighted Imaging」の略称です。日本語では「拡散強調画像」と呼ばれます。一言でいえば、組織の中の「水分子の動き」を画像化したものです。
【医師の視点】発症直後の超急性期脳梗塞でも数時間で高信号化し、CTやT2/FLAIRでは描出できない時間帯でも虚血を検出可能。ADC mapと並べて読むことで、T2 shine-throughを除外し、急性期梗塞・膿瘍・高細胞密度腫瘍の鑑別に直結します。
【放射線技師の視点】ベースはSE-EPIに、対になった強い傾斜磁場(MPG)を前後で印加します(位相のズレを利用して拡散をコントラスト化する具体的なシーケンスは次ページで解説)。b値を上げるほど拡散の重み付けは強くなる一方、SNRは低下し、副鼻腔・側頭骨近傍の磁化率アーチファクトや渦電流による歪みにも要注意。
【一般のみなさん向け】体の中の水分子は、健康なところでは自由に動き回っていますが、細胞が傷つくと「水分子が閉じ込められて動けなく」なります。DWIはその「動けなさ」を画像にする検査で、急に動きが止まった場所=異常が起きた場所が光って見えます。だから「発症してすぐの脳梗塞を見つけられる」と言われるんです。
■なぜDWIで“光る”のか?
DWIで病変が白く“光る”のは、脳虚血によって細胞が傷つき、水分子が動けなくなるという一連の流れ(カスケード)があるからです。
なぜ「水分子の動き」を画像化するのか?
通常の T1/T2 強調画像では「水の有無」しか分かりません。しかし、脳梗塞の発症直後は、組織の形やT2信号がほとんど変わらず、急性期では病変を見落とすリスクがあります。
そこで登場するのがDWIです。傷ついて水分子が動けなくなった部位、つまり細胞性浮腫だけが高信号として白く浮かび上がります。
この流れこそが、DWIで“光る”正体です。
ここから先は、この“光る”仕組みを医師・技師向けに少し詳しく見ていきます。
正常
DWI
超急性期
■Diffusion Weighted Imagingのマジック
・Stejskal-Tanner 法(MPG)の原理
対になった強い傾斜磁場(MPG)を前後で印加し、止まった水分子は位相が元に戻って信号を維持し、動いた水分子は位相がずれて信号が低下します。この信号差で拡散コントラストを作ります。
・水分子の動きを検出するメカニズム
b 値が大きいほど拡散の重み付けが強まり、自由に動く水ほど暗くなります。動きが制限された部分だけが白く高信号として描出されます。

・DWIとFLAIRの違い
FLAIRは慢性病変やむくみを広く描出する画像。DWIは水分子の動きにくさを映し、超急性期脳梗塞をFLAIRより早く発症 直後から検出できます。


■水分子の動きで病変を見つけ出す『DWI(拡散強調画像)』




■DWIの価値
DWIは、水分子の「動きにくさ(拡散の制限)」をとらえて、ほかの画像では見えない異常を浮かび上がらせるという、MRIらしさがよく出た撮像法です。
医師にとっては超急性期の脳梗塞や膿瘍などを早期に見つける助けとなり、放射線技師にとってはEPI特有の歪み・アーチファクトへの配慮が問われる、非常に奥深いシーケンスでもあります。
そして一般の方にとっても、「光って見える場所=水分子が動けなくなった場所」という意味がわかると、MRI画像の見え方が少し変わってくるかもしれません。
発症して間もない超急性期の変化をいち早くとらえられる点が、DWI最大の強みです。
次にMRI画像を見る機会があれば、「ここは光って見える?」「動けなくなった水分子のサインはないかな?」と、ぜひ少し違った視点で観察してみてくださいね。画像の中に隠されたメッセージが見えてくるはずです。
次回は、ADC mapやHigh b値、T2 shine-through、Computed DWIといったDWIの少し応用編をご紹介したいと思います。
■新大阪画像のMoRI診断クリニックのMRI情報ブログ
~これからも「一味違う」画像を~
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「想像していたよりも楽に検査できたよ」
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これからもスタッフ一同、自己研鑽を続け、患者さんや医師にとって価値ある画像を提供できるよう努力してまいります。
MRIの可能性はまだまだ広がっています。
