脳梗塞(脳動脈狭窄)  Ischemic Stroke|新大阪画像の森診断クリニック|大阪の画像診断専門クリニック

ヘッダー画像

症例ブログ

脳梗塞(脳動脈狭窄)  Ischemic Stroke|新大阪画像の森診断クリニック|大阪の画像診断専門クリニック

脳梗塞(脳動脈狭窄)  Ischemic Stroke

みなさんこんにちは!
ブログ担当技師です。
最近やっと暖かくなってきた気がしますね!例年であればもう桜が咲いても良い頃なのですが、今年はお花火日和はいつになることやら・・・。

とりあえず今日も今日とて症例紹介です!

今回は個人で当院受診の予約をとられた患者様の症例です。
電話して来られる1時間ほど前、人と会話をしている最中に言葉がでなくなった、とのことでした。
受診時は眩暈・頭痛があり、TIA(一過性脳虚血発作)としての一過性失語(=一時的に言葉が喋れなくなる)があったのではないかということで脳MRIを行う事になりました。
MRIの検査では臓器に焦点をあてた通常のMRI検査と、血管に焦点をあてたMRA検査があります。

頭部MRIでは腫瘍や脳梗塞によってダメージを受けている脳組織などを発見するのに役立つのに対し、MRAでは血管の異常(動脈瘤や血管の狭窄など)がピンポイントでわかるため、症状が出ていない場合でも脳出血・脳梗塞のリスク診断として有用です。

当院では頭部MRI検査の際は必ずMRAも行い脳動脈のチェックもしていますので、両方の結果から的確な診断へ導くことができます。

【脳内の動脈について】

ここで少し脳の主な動脈について学んでみましょう!

私たちの脳に届く血流は主に「頸動脈」と「椎骨(ついこつ)動脈」を通って心臓から送られます。

頸動脈は首の前側に左右1本ずつあり、椎骨動脈は首の後側に左右1本ずつありますが途中で合流して一本になるため脳に向かう血管はあわせて3本になります。

それらが脳の奥で輪になり合流した後、脳内それぞれの場所へ送られるのですが、この辺りの梗塞(血管が詰まること)が特に患者様の生死に関わることが多いため、私たち医療関係者はこの合流地点周辺を詳しく勉強し、どの動脈がどこにつながってどこへ流れるのかを学びます。私が解剖学の勉強の時によく使っていたThe Human Bodyで3D模型を使ってわかりやすく説明してみました!(↓再生してみて下さい!↓)

真ん中に5角形の輪があるのが分かると思いますが、脳に向かう血流はここに一度集まりそれぞれの分岐から脳の末梢にまで送られます。

そのため、この5角形から分岐した後の血管が詰まると、そこよりも先の血流が途絶えてしまい、脳細胞に血流が行かなくなる=脳梗塞を引き起こします。

 

今回の患者様はまさにこの5角形から出る血管に異常が見つかったのですが、どこかわかりますか?↓

答えはこちら!↓

MRA検査にて抽出された動脈が不自然に途切れていたり、細くなっているところは異常なのですが、今回の患者様には複数の狭窄(血管がプラーク付着などで細くなり血液が通りにくくなっている)が見つかりました。

その中でも最も目立っていたのが左中大脳動脈の狭窄(ココ!の部分)であり、別画像でみてみると血管の詰まりを補うためにいくつかの小さい血管がつくられているように描出されました。

まだ本血管がかろうじて繋がっているのか、側副路で血流がなんとか保たれているからなのか、その先の血流は復活していますが、完全に詰まるのも時間の問題です。

ここが詰まってしまうと脳の左側の大部分に血流が送られなくなってしまうので、とても危ない状態といえます。

ちなみに5角形の血管にも細いところが何カ所かありますが、ここは輪になっているためどこか一カ所途切れても逆側から血流が供給されるのでセーフです。(たまに生まれつき5角形がつながっていない方もいらっしゃいます)

 

【TIA(一過性脳虚血発作)があった場合のリスク】

今回の患者様のように、一時的に症状がありその後改善した場合、症状がよくなったからといって放っておいて良い訳ではありません。

このような症状は脳梗塞の前兆発作とも言われ、その後またすぐに本当の脳梗塞を発症してしまうリスクがかなり高いため、前触れの様な症状があった場合はできるだけ早く専門医療機関で診断・治療してもらうことが大切です。

医療現場で働いていてよく感じるのが、「すぐに病院に行った方が良い患者様ほど受診を後回しにする」ということです!なかなか仕事や家事が忙しく病院に行く暇などないと思われている方も多いかもしれませんが、何かあってからでは遅いのです!すぐ病院に行っておけば軽い治療で済んだのに・・・とあとで後悔することのないよう、なにか異変を感じたらすぐにお電話ください!

当院では他院を通さず直接検査・診察の予約をお取り頂くことも可能ですので、お気軽に来院またはお電話にてご相談ください。

 

それではまた次回!

 

トップ