画像のMORI診断クリニックLABO_画像のMoRIの世界へようこそ
- 2025年12月5日
- MRIに関する豆知識と検査のポイント
はじめに:画像のMoRIの世界へようこそ
はじめまして、こんにちは!画像のMORI診断クリニックLABO担当技師です!皆さま、新たに始まりました「画像のMORI診断クリニックLABO」へようこそ!このブログでは、MRI(磁気共鳴画像)に関するちょっとした豆知識や、画像に現れる不思議な現象について、可能な限りわかりやすくご紹介していきます。
初回は専門的なことではなく、このブログを通してお伝えしたいことを紹介します!
医療現場で日々使われているMRIですが、実はその画像には物理的な原理や撮像条件によって さまざまな“クセ”が現れることがあります。例えば、同じ組織でも撮影法によってまるで違う ように見えることがあったり、当たり前のように毎日見ている画像の裏には、様々なトレードオフの関係があるんです。
そんなMRIの奥深い世界を専門的すぎず、なるべくわかりやすく解説していきます。また、当クリニックで撮像した画像を提示しながら診療放射線技師の方や医学生、放射線科以外の画像診断に興味のある医師の先生方はもちろん、医療に関心のある一般の方にも楽しんでいただける内容を目指していきます。
「MRI検査はどこで検査しても同じ」…本当にそうでしょうか?
皆さんがもしMRI検査を受けることになったら、「どこで検査しても同じでしょ?」と思っていませんか?実はこれ、大きな誤解なんです。MRIの画像診断の質は、装置の「性能」によって大きく左右されるんです。


- 1.MRIの心臓部【静磁場強度】(テスラ数)
まず最も分かりやすいのが「静磁場強度」です。これは「テスラ(T)」という単位で表され、数値が大きいほどMRIのパワーが強いことを意味します。例えるなら、カメラの画素数のようなものです。
- 2.細部を映し出す【傾斜磁場強度】
次に大切なのが「傾斜磁場強度」。これは、体を細かくスライスして画像を作る際の「細かさ」に直結する性能です。
この強度が高いほど、空間分解能が向上し、まるで高性能なズームレンズのように、体の中の微細な構造や小さな病変をよりクッキリと映し出すことができます。
- 3.スピードと画質の要【スルーレイト】
あまり聞き慣れないかもしれませんが、「スルーレイト」も画質に大きく影響します。これは、傾斜磁場をどれだけ高速に切り替えられるかを示す指標です。
スルーレイトが高いと、まるでシャッタースピードの速いカメラのように、撮影時間が短縮されるだけでなく、体の動きによるブレ(モーションアーチファクト)を抑え、より鮮明な画像を取得することが可能になります。
まとめ:高性能MRIがもたらすメリット
これらの性能が高いMRI装置は、単に「画質が良い」だけでなく、下記のような重要なメリットをもたらします。
早期発見の可能性向上:小さな病変や微細な異常も見つけやすくなります。
検査時間の短縮:高性能なほど効率的に撮影でき、患者さんの負担も軽減されます。
つまり、MRI検査は「どこでとっても同じ」ではありません。もし検査を受ける機会がある際は、医療機関がどのような性能のMRI装置を導入しているか、少し気にしてみるのも良いかもしれませんね。
「どこで検査しても同じ」ではないMRIの秘密!

さらに「いい装置=いい画像」と思われがちですが、装置の静磁場強度や性能だけでなく、じつはMRIの画質は、装置を扱う“人の工夫と情熱”でどんどん良くなります。MRIについて勉強し、疾患や使用する装置のことを理解すればするほど画質が成長していきます。ソフトウェアの世代、プロトコル設計、アーチファクト対策、そして患者さんに寄り添ったコミュニケーション。どれか一つでも手を抜くと、結局は画像に跳ね返ってきます。
最新MRIでさらに快適・高精度へ

当院では FUJI FILM社製 『ECHELON Smart Puls 1.5T』 を2台導入しております。2026年1月には最新ソフトへバージョンアップし、より高画質・短時間で新しい情報をプラスし、精度の高い診断を目指します。
快適で安全な検査環境
MRI検査といえば「狭い」「長い」というイメージがありますよね。
- 狭さ対策:インボア内シアターシステムでリラックス
- 時間対策:最新ソフト+AI画像処理で短時間でも鮮明な画像
専門スタッフによる安心サポート
日本磁気共鳴専門技術者をはじめ、経験豊富なスタッフが丁寧に対応。不安を和らげ、安心して検査を受けていただけます。
当院のMRIは進化し続けています!
AI×MRIで広がる新しい可能性

ここ数年、「AI」や「Deep Learning」という言葉をよく目にしますよね。もちろんMRIの世界にも応用されています。
従来はノイズを減らすために撮影時間を延長し、加算回数を増やす必要がありました。しかし患者さんにとって長時間検査は負担…。まさに「時間とノイズのトレードオフ」が課題でした。
ところが近年登場したAI技術によって、短時間で撮影したノイズの多い画像も、まるで長時間撮影したかのようにクリアに再構成できるようになったのです。
MRI好きの研究者たちは、この余ったSNRを「さらに短時間化に使うか?」「高分解能化に使うか?」とワクワクしながら議論しています。
AIは、MRIの未来を確実に変え始めています。
AIで広がるMRIの進化

AIやDeep Learningの力は、画質改善だけにとどまりません。
撮影時の位置合わせをAIが自動で行ってくれることで、オペレーターの負担を軽減し、検査の効率もアップ。さらに撮影時間そのものも短縮できるようになりました。
つまり、AIは「より綺麗な画像」だけでなく「より快適でスムーズな検査」にも貢献しているのです。MRIは、AIによってますます患者さんに優しい検査へと進化しています。
あとがき:これからも「一味違う」画像を
皆さまお楽しみいただけましたでしょうか?次回からはMRIの豆知識や検査のポイントをどんどんお伝えできればと思います!
「ここで撮った画像は、なんだか見やすいね」そう言っていただけることが、非常に嬉しい瞬間です。
これからもスタッフ一同、自己研鑽を続け、患者さんや医師にとって価値ある画像を提供できるよう努力してまいります。
― MRIの可能性はまだまだ広がっています ―