前十字靭帯損傷 Anterior Cruciate Ligament Injury
- 2024年11月30日
- 靱帯、神経病変(Ligament and nerve lesions)
みなさんこんにちは!ブログ担当技師です。
だんだん寒くなってきて、今年も残すところあと一か月…
体調には気を付けていきましょう!
早速ですが、今回の症例を2件ご紹介します。
1人目の患者様は、バスケットボール中に相手と接触し着地した際に左膝を負傷、
2人目の患者様は、歩行中に右膝をひねってしまい膨張・不安定感があり、受診されました。
どちらも靱帯損傷疑いで、MRI検査となりました。
膝関節のMRI検査は、膝を曲げ固定して検査をしています。
膝を曲げた方が、靱帯が見やすくなります!
〈伸展時〉 〈屈曲時〉
(膝を横から観察した画像です)
それではまず、解剖をご紹介しましょう!
(膝を前から観察した画像です)
上の画像は、右の膝関節で体を前後に分けた断面を前からみたものです。
膝関節は体の中で一番大きい関節と言われており、 骨の種類は大腿骨・脛骨・腓骨・膝蓋骨から成り立っています。
次は、靭帯についてお話します!
〈右膝関節〉
(膝を前から観察した画像です)
(膝を横から観察した画像です)
膝関節の靱帯には、前十字靭帯(ACL)・後十字靭帯(PCL)・内側側副靭帯(MCL)・
外側側副靭帯(LCL)の4つあります。
靱帯は、前後左右への動きやねじれに対してのストッパーの役割があります。
では、今回のテーマである前十字靭帯損傷の画像を見ていきましょう!
~症例1~
〈正常な前十字靭帯〉 〈断裂した前十字靭帯〉
(膝を横から観察した画像です)
正常の画像では、前十字靭帯の走行は前から後ろに伸びているのが分かります。
それに対して異常画像では、前十字靭帯は途絶し断裂してしまっています。
ただ、細く連続する構造が見られるため、完全断裂ではなく部分断裂の画像です。
~症例2~
〈正常な前十字靭帯〉 〈断裂した前十字靭帯〉
(膝を横から観察した画像です)
症例2の異常画像では、前十字靭帯が断裂し断片が一塊になっています。
完全断裂の画像です。
前十字靭帯が損傷したら、激しい痛み・「ブツッ」という断裂音も
聞こえることがあります。
時間が経つと同時に膝が腫れてきたり、膝の不安定感が出てきたりします。
また、前十字靭帯損傷の起こりやすい要因は、スポーツを行っている際に起こることが多く、非接触損傷・接触損傷・交通事故があります。
前十字靱帯は後十字靭帯と比べ断裂しやすく、統計で見ると
80%程度が前十字靱帯の損傷です。
・非接触損傷
サッカーやバスケットボールなどのジャンプした後の着地、急な方向転換時や
急に止まった時に発生するもの
・接触損傷
ラグビーでのタックルを受けた際などの強い衝撃で発生するもの
では、前十字靭帯損傷した場合の治療法をご紹介します。
前十字靭帯は関節内にある靱帯なので血流が乏しく、一度損傷してしまうと自然治癒は難しく、保存療法・手術療法・再生医療PRP療法という治療があります。
ただし、スポーツを行う方は保存療法では回復が難しく、手術療法が多いです。
・保存療法
損傷が軽度な場合や日常生活に大きな支障がない場合、ギプス等の装具を装着し、
痛みのない範囲でリハビリを行い、筋力や可動域の改善を行っていく方法です。
・手術療法
靭帯再建術という手術が行われます。
損傷した靭帯に、患者様自身の他の腱を移植する方法です。
・PRP(多血小板血漿)療法
患者様自身の血液を加工や成分を抽出し、靱帯に投与することで患者様自身がもつ修復力を
サポートし、改善に導く方法です。
損傷してしまうと、改善まで長い時間がかかります。
また、靭帯が断裂してしまうと膝の不安定感が残ってしまったり、膝が抜けるような現象
(膝くずれ)も起こるかもしれません。
長い間固定や日常生活に支障がでてしまう可能性があるので、
怪我には気を付けてくださいね!
また、当院では膝専用の画像ドックもございます。
骨や靱帯、軟骨、筋肉の状態を観察できます。
膝に心配がある方は一度、画像検査をご検討下さい。
それではまた次回!