前立腺がん prostate cancer
- 2024年9月26日
- 男性骨盤部病変(Male Pelvis)
みなさんこんにちは!ブログ担当技師です。
まだまだ暑い日が続いておりますが、
こまめに水分補給を行い熱中症にお気をつけください。
今回は、男性の骨盤領域の前立腺がんについて、
ドック検査で見つかった症例をご紹介したいと思います。
主な原因や症状から見ていきましょう。
●前立腺がんの原因
年齢、食生活、ホルモン異常、遺伝などが原因とされており、
高齢化が進む日本では、前立腺がんの発生率も増加傾向にあります。
食生活の欧米化も原因の一つかと思いますが、因果関係があっても、
決定的な原因は分かっていないようです。
しかし、血縁者に前立腺がんの方がいる場合の発生率は2倍以上に増加する報告もあり、
年齢に伴って一度検査を受けられることをおすすめしています。
●前立腺がんの症状
前立腺がんは、初期症状がない場合が多く、がんの進行に伴い症状が発生します。
代表的なものが、尿が出にくい、排尿痛、尿や精液に血液が混じっているなどがみられます。
さらに進行すると骨転移をきたし、骨痛が発生することもあります。
前立腺がんは、他のがんと比べて進行速度が遅いので、早期発見ができれば、
治りやすいがんと言われています。
次は、前立腺の解剖について見ていきましょう
前立腺は、男性だけにある臓器で、膀胱下、骨盤の最も深い位置にあります。栗の実やみかんのような形が特徴です。
前立腺は、尿道のまわりの内腺(みかんの実にあたる部分)と被膜付近の外腺(みかんの皮にあたる部分)に分けられます。
辺縁領域、中心領域、移行領域の大きく3つのゾーンに分けられることもあり、
辺縁領域は従来の外腺、中心領域と移行領域は内腺にあたると考えられています。
画像検査においても、3つのゾーンを注意深く観察しています。
3つの領域を画像上で観察仕してみましょう
それぞれ3区域での前立腺がん発生率を見てみると
- 移行領域:25%
- 中心領域:5%
- 辺縁領域:70%
辺縁領域に前立腺がんが最も発生しやすく、中心領域が発生しにくいとされています。
また、前立腺に特異的な腫瘍マーカーであるPSAも関係します。
PSA(前立腺特異抗原) とは
前立腺は精液の一部となる前立腺液を作っています。
その中にPSAというタンパク質が含まれており、ほとんどのPSAは前立腺から精液中に分泌されますが、ごく一部、血液中に取り込まれます。
血液検査で行う腫瘍マーカーは、その血液中に取り込まれているPSA値を測ります。
一般的にPSAが4.0ng/mlを超えると前立腺がんの可能性があるとされていますが、PSAが上昇する原因は前立腺がんのみだけではなく、前立腺肥大症や前立腺炎などでも上昇します。
PSAの値が高くても必ずしも前立腺がんがあると言えないし、PSAが正常値( 4.0ng/ml以下)でも前立腺がんがないとも言えません。
そこで、当院では、病変の存在診断や、性状診断も優れているMRI検査と組み合わせる事で、総合的に判断を行います。
前立腺がんの所見を見ていきましょう!
PSAの値は、 5.3ng/mlと上昇傾向であり、
基準値である4.0ng/ml以下を超えた値となっていました。
では、MRIでは、どうでしょうか?
緑で囲っている場所が前立腺であり、正常では、内部が白くなっていますが、
右の画像はどうでしょうか?
赤で囲っている場所を観察すると黒くなっているのが、 わかるでしょうか?
この部分が異常になります。
後日、より詳しく検査を行うため造影検査を施行しました。
日本泌尿器科学会では、50歳以上から検診が推奨されていますが、前立腺がんの家族歴がある場合は、40歳から検診が推奨されます。
50歳を過ぎると罹患率も増加するため早めに検診を受けられる事が望まれます。
住民検診では、PSA検査をする場合もあるようです。
そのPSA値によって、図記載のPSAの年齢層別カットオフ値で泌尿器科への紹介、1~3年後の再検査が望まれるのか違ってきます。
前立腺がんの治療には、手術療法、放射線療法、ホルモン療法、PSA監視療法、化学療法、 緩和的療法などが知られています。
※日本泌尿器科学会を資料参照
前立腺がんの早期発見には、早めに行動することが大事です。
初期症状もほとんどないので、ぜひ40歳以上の方は、ドック検査をご検討下さい。
または、症状に当てはまる方は、一度当院までご相談下さい。
それでは、またお会いしましょう。