聴神経腫瘍 Acoustic neuroma
- 2024年2月5日
- 頭部病変(Brain/Head)
こんにちは!
毎度おなじみブログ担当技師です。
今回はめまいで来られた患者様のMRI所見です。
この方は年末からめまいや頭痛が続き、病院にはかかっておられませんでしたが原因究明のために個人で予約を取られました。
当院では個人での人間ドックの予約と、他院からのMRI/CT/エコーの検査依頼を承っているのですが、症状のある方で他院にかかられていない患者様が直接電話予約をして来院されることも数多くあります。症状がある場合はもちろん保険診療となります。
なにか気になる症状がありそれについて画像検査をしてみたい方は、遠慮なくお電話いただければどのような検査を受けるべきか等、院長・看護師・技師が丁寧にお答えいたします!
では以下が今回の患者様の脳MRI画像です↓
MRIでは同じ輪切り画像でもいろいろな種類のものを撮影するので、同じ箇所の病変が白く写ったり黒く映ったりします。その濃淡でそこにどんな物質があるのか(水なのか、脂肪なのか、腫瘍組織なのか等)がわかります!
上の2枚は同じ場所の輪切り画像ですが、どこに病変があるかわかりますか?
答えはこちら↓
小さいですが、左画像では白い点が見え、右画像の同じ所は黒くなっているのがわかります!
これを別の切り方で見た画像がこちら↓
こちらの画像の方が病変部分がぴかーっと光っていてわかりやすいですね。
この病変の各MRI画像の映り方や位置している場所から「聴神経腫瘍疑い」との診断がつきました。
【聴神経腫瘍とは】
「聴神経」にできる「腫瘍」
聴神経には聴覚を司る神経(蝸牛神経)と平衡感覚を司る神経(前庭神経)がありますが、これらの神経細胞から発生する腫瘍を聴神経腫瘍と総称しています。聴神経腫瘍と呼ばれる腫瘍のうち99%はバランスを司る前庭神経から発症する良性脳腫瘍です。
聴神経腫瘍の症状で最も多い症状は感覚性難聴です。しかし片方だけの難聴は症状として自覚しにくい傾向にあり、健康診断で聴力検査をしてはじめて気付く場合も少なくありません。
他の症状としては耳鳴り、腫瘍が大きくなってきた場合はめまいやふらつき、平衡感覚喪失、頭痛などが症状として現れます。また聴神経と並走する顔面神経を圧迫してくると、顔面麻痺が起きる事もあります。
この患者様にもめまいの症状があったので、この腫瘍が悪さをしている可能性が高いです。
しかし今回腫瘍が見つかった小脳橋角部に発生する腫瘍は約30種類以上あり、悪性腫瘍である可能性も低いですがゼロではありません。
聴神経腫瘍である確率が高いもののどの種類かを断定することは今回のMRI検査だけではわからないため、この患者様は次回2ヶ月後に造影MRIをして悪性ではないことをはっきりさせよう、という流れになりました。
このように一度だけの検査では「何かある」のはわかるものの、それが何かをはっきりとさせるためには別の検査が必要になることがほとんどです。
エコーや単純MRI、単純CTで見つかった病変を造影検査などで精査し、治療が必要なのか、放っておいても良いものなのかを判断します。
実際人間ドックを受けに来られた患者さんのなかで、なにか病変が見つかった方にはもう一度後日来院して頂き精査を行うことも多くあるのですが、当院のみで検査・診断が完結できるところも画像の森診断クリニックの魅力でもあります。もちろん精査のための費用は保険適用されますのでドックのように全額負担する必要はありません。
なにか症状のあるかたは最初から保険適用になりますので、どんな検査を受けるべきか迷われているかたは一度お電話ください!
それでは、また次回!