肝血管腫 Hemangioma +膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)|新大阪画像の森診断クリニック|大阪の画像診断専門クリニック

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肝血管腫 Hemangioma +膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)|新大阪画像の森診断クリニック|大阪の画像診断専門クリニック

肝血管腫 Hemangioma +膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

こんにちは!

症例ブログ担当の技師です。

皆様に画像検査のこと、病的所見のこと、その他当院のいろいろなことを知っていただくためにブログを書かせていただきます 🙂 

まずは1症例目です。

 

人間ドックでCT検査を受けた際に肝臓に腫瘍があることを指摘され、後日造影CTで精査をされた患者様が血管腫と悪性腫瘍の鑑別のために当院MRIを受けに来られました。

 

造影CTの際に膵臓にのう胞がみられたためその精査も兼ねてMRIを撮ってほしいということでした。

ちなみに、人間ドックや健診で偶然腫瘍のようなものが見つかって精査に来られる方はとても多いです。そのような患者様はもちろん自覚症状はありません。当院のドックを受けられて偶然なにかが見つかり、後日精査するために予約をしてから帰って頂くことも多々あります。やはり無症状でもドックや健診でエコーやCTなどの画像検査を受けることは大事だな~と思う今日この頃です。

話を戻しまして、以下が今回の患者様のMRI画像です。

MRIでは同じ部位に対して複数の方法で画像を撮影すると説明しましたが、そのうちの2種類を載せています。T1強調画像では指摘された肝臓内の病変部(黄色○内)が暗く映し出され、T2強調画像では白く映し出されています。画像検査は基本白黒の濃淡で構成物を判断しますが、病変の種類によってその暗さ・明るさが異なるため、その部分が何で出来ているかを診断することが可能なのです。今回の濃淡タイプは「血管腫」という血管のかたまりのようなものであり、悪性腫瘍ではないということがわかりました。

血管腫は肝臓だけでなく体中どこでも出来うるものですが、血管がかたまりになっているだけなので基本的に治療は必要ありません。ただCTなどの画像検査で見つかると、画像上では悪性腫瘍のように見えることがあるためたびたび精査に回されることのある腫瘍です。

 

また、膵臓で見つかったのう胞も同じMRI検査時に別の撮り方(MRCP)で撮影しました。↓

 

 

MRCP (Magnetic resonance cholangiopancreatography←長っ!) はMRIの撮り方のうちの一つで、胆嚢・胆管・膵管に注目してそこだけを抜き取ったように描出する検査です。

私たちが食べるお肉などの消化に使われる胆汁は肝臓で作られますが、その後肝内胆管を通って胆のうに一時的に保管されます。食べ物の消化がはじまると胆のうが中の胆汁を押し出し、肝外胆管を通って十二指腸に放出されます。そのときに膵臓で作られた酵素も膵管を通って合流し、一緒に十二指腸に放出される仕組みです。それらの消化に必要な液体の通り道(=管)が詰まったり、のう胞ができたり、拡張したりしているかをMRCPで検査します。

この患者様の膵管は遠位部(十二指腸から遠い部分)が細くあまりよく見えませんが、胆管との合流部にこぶみたいなものがあるのがわかります。

 

これがIPMN (Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm = 膵管内乳頭粘液性腫瘍) と呼ばれる膵管にできる腫瘍病変です。

この部位をもうすこし 細かく観察するために、エコー検査がオーダーされました。エコー検査は特定の一部において細かく観察することに優れており、リアルタイムで動画を撮れたりもするのでCTやMRIとはまた違った特徴を備えています。

以下が膵臓に焦点を当てて撮ったエコー画像です。

 

主膵管の傍らに黒い丸がみえますが、そこがのう胞です。エコーは血流があるかどうかもリアルタイムで確認できるため、その機能を使ってみました。

 

画像のように、赤と青のカラーが載っているところは血流がある部分です。黒丸(病変部)にはカラーが入らず黒いままなので、血流がないことがわかります。

一般的に良性病変では血流がない・少ないことが多く、悪性だと血流が豊富にあることが多いため、カラーの有無は鑑別に使われることがよくあります。

今回はその形・場所から「分岐型」という種類のIPMNであると当院の医師が判断し、混合型にも近いため経過観察になりました。

IPMNは膵臓に出来る嚢胞の一種であり、めずらしい所見ではありませんが癌化する可能性や膵癌のリスクが高くなることがあるため、注意しておかなければならない病変のひとつです。

タイプは「主膵管型」「分岐型」「混合型」と3種類ありますが特に主膵管型は癌のリスクが61.6%とかなり高く、手術し切除となることも多いようです。そのためどのタイプに分類されるかの鑑別はとても大切になってきます。

 

肝血管腫もIPMNも症状は全くなく、健康診断や他の病変の精査で偶然みつかることがほとんどですので、定期的に画像検査を受けていないと知らずに大きくなってしまうこともあります。会社に勤めている方やその家族の方は健康診断を毎年受けておられる方も多いと思いますが、簡易の検査では見つからないものも多く見逃されてしまうこともよくあることなので、一度も精査をしたことがない方はMRIでの検査をお勧めします。

 

当院の画像ドックでは病変が見逃されやすい膵臓に焦点を当てた膵臓ドックも提供しておりますので、興味のある方は当院ホームページまたはお電話にてお問い合わせ下さい!

 

ではまた次回!🖐

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