肩甲骨腫瘍 Tumor of the Scapula|新大阪画像の森診断クリニック|大阪の画像診断専門クリニック

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肩甲骨腫瘍 Tumor of the Scapula|新大阪画像の森診断クリニック|大阪の画像診断専門クリニック

肩甲骨腫瘍 Tumor of the Scapula

こんにちは、ブログ担当技師です!

今回は私たち技師でも「おぉ~」となるようなMRI画像をお見せします。

 

この患者様(80代女性)は6ヶ月ほど前から右肩に痛みがありましたが、1週間前から症状が悪化し、腕が痛くて上がらなくなってしまいました。
依頼元の病院にてレントゲンを撮ったところ、肩甲骨に「骨癒合所見」(骨折した後に自然と骨がくっついたように見えること)があるため骨折しているのではないかとMRIで精査を依頼されました。
そのため当院では「肩甲骨」のMRI検査をしたのですが、そもそも「肩甲骨」がどんな形でどのように位置しているのか知っている方は少ないのでしょうか?

 

【肩甲骨とは?】
肩甲骨(けんこうこつ)はよく耳にする骨の名前ではありますが、実はとても複雑な形をしていていろんな筋肉に囲まれている(勉強する側からすれば)ややこしい骨でもあります。

肩甲骨は表側・裏側ともにいろいろな筋肉・腱が隣接しており、そのいろいろな構造に支えられる形で存在しています。

よくわかりませんがとりあえずいっぱいまわりに筋肉がついています。

 

これを踏まえた上で、今回のMRI画像を見てみましょう↓

 

左が異常所見ありの画像ですが、上腕骨にくっついている部分の肩甲骨端がいびつな形をしています。内部も白っぽいところや暗いところが混じっていてどこか汚い印象を受けます。

別角度からの断面図も見てみましょう↓

正常例では黒色をした三角の骨(肩甲骨断端)と丸い骨(上腕骨)がはっきりみてとれますが、左画像の異常例では三角の骨があったところに白っぽいもこもこの物体があり、またそれが周りの筋肉を押し広げているようにも見えます。

このもこもこの物体は肩甲骨から発生している「腫瘍」であり、形や性状から「軟骨肉腫」の可能性が高いと診断されました。

骨があった部分が腫瘍で覆い尽くされ、形も変わってしまっています。

まだ今回のMRI検査だけでは悪性腫瘍であると断言はできないため、造影検査や生検等の精査を推奨するレポートを依頼医院にお返ししました。

 

【軟骨肉腫とは?】

肉腫とはがんの一種であり、体中のどこにでもできますが、骨にできる肉腫はそのうちの約25%を占めています。罹患者は10~20代の若年者が多いですが、高齢者にも一定の割合で発症します。軟骨肉腫は骨肉腫の一つのタイプであり、主に40歳代以上の比較的高齢の方に発症します。好発部位は大腿骨、骨盤、上腕骨に多くみられるため、今回の肩甲骨にできた腫瘍が軟骨肉腫であるならばかなりめずらしい症例となります。

この患者様は胃癌と腎臓がんの既往があったため、別の場所にあったがんが骨転移してできたものである可能性も否定できません。

 

すこしでも体の異変を感じたらすぐに画像検査!痛くもかゆくもないので気軽に受けれて命も救える。私たちは毎日一人一人の患者様の症状・所見に向き合って検査を進めています。

 

それではまた次回!

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